トマトときゅうり


 きゅうりがぱっと振り返る。

「おう。―――――――あれ、髪くくったんだ?」

「はい、食事ですから」

 椅子に座って、少し困った。くくってさらけ出したうなじの辺りに、きゅうりの視線を感じる。なんだろ・・・肌、荒れてたりするのかも・・うー。

 えーっと・・・・何を話したらいいんだろう。

 とりあえず、とお水を飲んでいたら、きゅうりから話しだした。

「・・・大会、どうだった?」

 ハスキーな声がボソッと呟く。

 はい、話題はこれに決定したわけね、了解しました。私は一人で頷く。間違ってもうかつに長谷寺さんの話はしないように努力しよーっと。

 「ずっと受付にいましたので、見れてないんです。あ、でもうちの事務所が呼ばれたのが聞こえた時は、興奮しました」

 きゅうりがクスリと笑う。

「興奮?」

「はい。おおーって思って。覗きにいきたかったです」

 へえ、そんなもんかな、と真剣な顔して考えている。

「それに、普段電話でしか話したことない色んな事務所の事務の子たちと話せました。それが一番楽しかったかも・・・」

「そうか、事務の人たちは研修も滅多にないから、顔合わせることないもんな」


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