トマトときゅうり


「で?何かさっき言ってたな、アンケートって何?」

「あ、それです、それ!」

 言われて思い出し、鞄の中を漁る。丁度いい機会。ううん、これがチャンスでなくて、一体何!?ってなレベルのチャンスだわ!

 お皿を片付けて貰って、きゅうりはコーヒーを注文した。

「あ、お時間大丈夫ですか?アポとかないですか?」

 忙しい営業を捕まえていることを思い出した私が唐突に聞く。忙しいって言われてもこれだけは答えて言って欲しいけど・・・。

 きゅうりは頷いた。

「俺、今日半休取ってるから。本当は大会終わった時点で休日」

 あ、そうなんだ。私も仕事終わりになっちゃったし、お互い時間があったわけね・・・。
 
 そこで気がついた。

 お嬢さんからも、逃げたくなるわけよね。折角休みとってたんだったら、仕事が入るのは嫌だっただろうし。・・・・でも会議って言い訳してたけど。


「・・・何だか、凄くプライベートなアンケートだな、これ」

 私がうだうだ考えてる間に、きゅうりが水野さんから渡されたアンケートを一読して呟いた。

「・・・答えるの、嫌なところはいいですよ」

「うーん・・・別に嫌ってわけではないけど。大体これ、何のアンケート?」

 ・・・う。それ、一番答えられない質問だわ。水野さんその他(正直に言おう、私も含めて、だ)の女子がアナタについて知りたいのです・・・。


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