トマトときゅうり


「えーと。深い意味はないと思いますが・・・」

「深い意味がない?意味ないアンケートに個人情報書くのか?」

「・・・いえ、えーと、ですね・・・」

 困った・・・。うーん困った。よく考えたら、そりゃ使用の意図聞くよね。なんせ、個人情報を普段から扱ってる営業さんなわけだし・・・。

 うわあ~・・・超困った・・・。

 私が顔を手にうずめて唸っていたら、きゅうりが肩をすくめて言った。

「・・・・まあ、いっか。よし、1番。名前、楠本孝明」

「え」
 
 きゅうりがいきなり言い出したから、私は慌ててペンを取り出す。

「はいはい。じゃあ、2番は?」

「好きな食べ物?・・・・別に嫌いな物ないしな」

「敢えて言うなら?」

 食い下がる必要はないのに、なんだか楽しくて言葉をつないでしまう。

 コーヒーをブラックのまま飲んで、きゅうりはうなる。

「うー・・。俺、結構サラダ好きなんだ。ドレッシングにこだわりはないんだけど。きゅうりとか、好き」

 個人的に、大爆笑の答えだった。盛大にむせたので何事かと見つめられた。

 きゅうりだとーっ!!!

「・・・大丈夫か?笑ってる?何にそんなに受けたんだ?」


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