トマトときゅうり


 ごほごほと咳き込みながら、片手を振って懸命に言葉を搾り出す。

「・・・いえいえ・・・ごほっ・・・。何でもないです。ちょっと唾が気管に・・・」

 あはははは。きゅうりはきゅうり好きだった!これが笑わずにいられようか!

 どうしてもにやけてしまう顔を必死で戻そうと頑張る。うくくくく・・・駄目だ、おもしろ過ぎる~!

 それでも何とか笑いを押さえ込むのに成功して、次の質問にうつる。

「・・・すみません、えーと、サラダですね。はい、3番お願いします」

「好きな場所。――――――好きな子の隣」

「え?」

 一瞬で笑いの発作が引いた。

 ・・・好きな子の隣。

 きゅうりの視線にハッとして慌てて言葉を出した。

「・・・あ、はい。まさか、そうくるとは。自分の部屋、とか、水族館、とか、そんな答えだと勝手に思ってました」

 アンケートに書き込みながら、つい言ってしまった。

「同じなんだよ。大して嫌いな場所はない。敢えて言うなら、好きな子の隣にいれたらどこでもいい」

 頬杖をついてにやりと笑う。そんな表情でも、きゅうりはやっぱり格好いいと思った。

「次は――――」


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