あやまち
翌朝、リビングに顔を出すと、昨夜の姿はなんだったんだと思うほど、いつもと変わらない翔太がいた。




「悠亜、おはよう」


「おはよ」




朝食を食べて、翔太は部活の準備をしながら、日課になってしまったように、あたしの今日のスケジュールを聞いてくる。




「なにもないよ」




というあたしの応えに、翔太は満足そうに微笑む。



やっぱりいつもの翔太だ。



昨日のあの姿はなんだったんだろう。




翔太が部活へ行ってからも、あたしの頭の中には、昨夜の翔太の姿ばかりが浮かんでくる。



あの旅行から帰ってからの翔太は、いつも感情剥き出しで、何を考えているのかわからないなんてことは、今までに一度もない。



だから……



今の翔太は、逆に怖くてしょうがなかった。

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