あやまち
麻希の車の助手席に乗り込むと、外の蒸し暑さとは対照的な、ひんやりと気持ちのいい空気が肌を撫でる。



「涼し」



思わず漏れた一言に、麻希がクスッと笑いながら



「今年も残暑は長そうだもんね」



と応える。


確かになぁと、相槌を打ちながら、まだ九月に入ったばかりだから、あと一ヶ月近くは続くんだろうなと思うと、うんざりした気持ちになる。


でも、今はアパートに籠る生活をしているから、あたしには関係ないかと苦笑混じりの溜め息が出た。


そんなあたしを横目に、麻希が口を開く。



「ねぇ悠亜」


「ん?」


「今日はどうする?」


「え」



『今日はどうする?』って……


ショッピングに行くんじゃなかったの?


その言葉の意味がわからず首をかしげていると、麻希はふっと笑みを漏らした。

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