あやまち
カーステから流れるやさしいバラードを聴きながら、視線は窓の外へ向ける。


ジリジリと焦がしてしまいそうなほどの陽射しがアスファルトを照らしていて、向こうの景色が歪んで見える。


窓越しでもその暑さが伝わってきて、今日は、街中を歩くショッピングじゃなくてよかったなぁと思う。



今日はたった一日とはいえ、麻希の計らいでこうやって翔太から抜け出せた。


そんな麻希が、これから自分のアパートへ行くと言う。


きっと、いろんな話を聞かされる。


そしてあたしも、これからもずっと麻希と親友でいるために、心の中にあるものをすべてさらけ出したい。


ゆっくりと首を回して、麻希の横顔を盗み見る。


穏やかな表情で運転しているのを見ながら、あたしの脳は、あの旅行のことを思い出していた。

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