あやまち
翔太と麻希が買い出しに行って二人きりになったとたん、迫ってきた渉。



『悠亜を手に入れたいだけだ。それだけを、望んでる』


『俺、かなり本気なんだけど』



だけど、あたしにその気が全くないのを知ると、今までに見たことのないような弱々しい渉になった。



『俺、ずっと……悠亜とは、お互いに想い合ってるって、そう思ってた。……違ったんだな』



それでも、夜中にテラスで話したとき、その弱々しい部分を隠すように



『何で、俺じゃ、付き合えないわけ?』



なんて聞いてきた。だから……



『あたしは、遊びの中の一人でいいなんて、そんなことは思えないから』



あたしがそう応えたことで、渉の態度がガラッと変わった。

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