あやまち
そんなことを考えていたら……



「お待たせしました」



そう言って、店員が目の前に置いたもの……



「えっ!」


「おめでとうございます」



さらにそう言って、ケーキの上に立っているろうそくの火をともした。


店員が去ったあと



「悠亜、ハッピーバースデー」



翔太はそう言ったあと、「前祝いだけどな」と付け加えた。


そっか、あたし、明日が誕生日なんだ。


自分のことだけど、すっかり忘れていた。


だから、外で食べようなんて言ったんだ。



「明日は部活で飲み会があるから、今日祝わせて」



そう言いながら、やさしく微笑んでいる翔太を見ていると、胸がきゅんと締め付けられる。


それと同時に、目頭が熱くなり……そのまま、涙がほろりとこぼれてしまった。



「翔太、ありがとう」
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