あやまち
大きく息を吸って、それをゆっくりと吐き出す。


そして……



「渉のことが、好き」



真っ直ぐ見つめながらそう言うと、渉は目を細めてやさしく笑った。



「俺も、悠亜が好きだよ」



そのまま渉はゆっくりと距離を詰めてきて……


大きな手を頬に添えてから、唇を合わせた。


啄むようなキスを繰り返したあと、唇を割って舌が侵入してきた。


歯列をなぞり、お互いの熱を味わうようにゆっくりと舌を絡める。


あのとき……無理矢理抱かれたときにされた自分勝手な欲望のままのキスとは全然違う。


物凄く、やさしいキス。


その感覚に、あたしの身体はじわりじわりと熱を帯びていく。


あたしの心が渉で一杯になっていく。



「……わ、たるっ……」



身体がジンジンと疼くのを感じて、渉のシャツをぎゅっと握った。

< 201 / 220 >

この作品をシェア

pagetop