あやまち
なんだか凄く悲しくなって、流れている涙を止めることもできなくて……


いつの間にか、嗚咽も漏れ始めた。



「は?……何で泣いてんの?」



そんなあたしに、渉はそらしていた視線を戻して、顔を覗き込んできた。



「悠亜?」



流れる涙を人差し指の背でやさしく拭ってくれるけれど……



「何で、避けたの?」


「は?」


「顔を、覗き込んだら、……渉がぷぃって、あっち向いたっ」



そう言うと、また涙がポロポロ溢れてきた。


こんなあたしは、端から見れば駄々をこねる小学生のようで。


言ってから恥ずかしくなって、慌ててうつむいた。



「ああ、だからやべぇって」



そんなあたしに、渉はまた溜め息混じりに言葉を発する。


こんなあたしを見て、渉は呆れているのかもしれない。

< 203 / 220 >

この作品をシェア

pagetop