あやまち
空になったビール缶が床に転がっていたからか、酔ってそのまま寝たんだろうと、解釈してくれた。



ていうか、確かに昨夜は、酔い潰れて寝たんだ。





そのあとの出来事を、すべて消してしまいたくて、何度も目を閉じたけれど、消えてはくれなかった。



むしろ、身体がすべて覚えてしまっていた。



渉は、強引に抱こうとしたくせに、いざ抱くと、凄くやさしくて、どこからどうみても、愛されてるとしか思えない……そんな抱き方だった。





シャワーし終えて戻ってきた翔太を、笑顔で迎えたつもりだったのに……



すべてを見透かしているように、あたしの様子がおかしいことに気付いた、翔太。



でも、どうしても言いたくなかった。



もし言って、「別れよう」と言われるのが、怖かった。



翔太を、失いたくない――…
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