あやまち
「マジでどうしたんだよ?」


「なにも、ないもん」




隣に座る翔太が、心配そうに眉を下げながら顔を覗き込んでくるけれど……



視線を合わせるのが怖くて、やさしい瞳から逃げるように、うつむきながら翔太の肩に額をコツン、とのせる。




「……」


「……」




ゆっくりと肩に腕が回ってきて、引き寄せられたけれど……



いつもなら安心する、シトラスの香りに、胸がぎゅっとつかまれたように痛くなる。



それと同時に瞳の奥から、じわりじわりと、熱いものが込み上げてきた。




「翔太……好き」


「ん、俺も好きだよ」




想いを口にしたとたん、目尻から一粒の涙がこぼれた。



それを隠すように、翔太の背中に腕を回して抱きつく。
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