《短編》空を泳ぐ魚
「セナー!
帰ろうぜー。」
今日は出張に行ってしまった担任教師の代わりに、
俺がホームルームをそつなく終わらせた。
帰りの号令が終わった瞬間、待っていたのだろう“白石誠”が叫んで顔を覗かせた。
清潔感のある名前に一切似合うことのない、4年目に突入した制服に、
何度言っても止めないイマドキありえないほどの金髪と、抱えたギターケース。
この男と一緒に居る時の清水は見つけやすいけど、
俺としてはあんまり良い気分はしない。
当てにならない噂によると、この二人は付き合ってるらしいけど。
そんなことより一番気になるのが、この男ともヤってるのか、ってことだ。
てゆーか、名前呼んでるあたり、俺より上なのが気に入らない。
そんな俺の気持ちにまるで気付いていないのであろう清水は、
呼ばれてさっさと教室を出ていってしまった。
そして始まる、下世話なトーク。
「…白石、怖ぇよなぁ。
ギターケースの中に実は武器が仕込んであるって聞いたんだけど。」
お前、よっぽど暇なのか?
てゆーか、そんなヤツ漫画でしか見たことねぇよ。
「アレじゃね?
清水のSM道具の収納!」
ははは。
お前、生徒じゃなかったら殺してるぞ?
よくもまぁ、そんなことばかり思いつく脳みそがあるのだと、感心してしまう。
そんなまるで“いつも通り”の光景に呆れ、さっさと俺も教室から出た。
もうそこまで迫って来てる夏を前にした西日が、名残惜しそうに傾き始めて。
長く伸びた校舎の影に、放課後を心待ちにしていたような生徒たちの声が響く。
大した変化もないように繰り返すだけの日々。
清水をどこかに連れてってやれば、そんな日々は変化したりするのだろうか?
帰ろうぜー。」
今日は出張に行ってしまった担任教師の代わりに、
俺がホームルームをそつなく終わらせた。
帰りの号令が終わった瞬間、待っていたのだろう“白石誠”が叫んで顔を覗かせた。
清潔感のある名前に一切似合うことのない、4年目に突入した制服に、
何度言っても止めないイマドキありえないほどの金髪と、抱えたギターケース。
この男と一緒に居る時の清水は見つけやすいけど、
俺としてはあんまり良い気分はしない。
当てにならない噂によると、この二人は付き合ってるらしいけど。
そんなことより一番気になるのが、この男ともヤってるのか、ってことだ。
てゆーか、名前呼んでるあたり、俺より上なのが気に入らない。
そんな俺の気持ちにまるで気付いていないのであろう清水は、
呼ばれてさっさと教室を出ていってしまった。
そして始まる、下世話なトーク。
「…白石、怖ぇよなぁ。
ギターケースの中に実は武器が仕込んであるって聞いたんだけど。」
お前、よっぽど暇なのか?
てゆーか、そんなヤツ漫画でしか見たことねぇよ。
「アレじゃね?
清水のSM道具の収納!」
ははは。
お前、生徒じゃなかったら殺してるぞ?
よくもまぁ、そんなことばかり思いつく脳みそがあるのだと、感心してしまう。
そんなまるで“いつも通り”の光景に呆れ、さっさと俺も教室から出た。
もうそこまで迫って来てる夏を前にした西日が、名残惜しそうに傾き始めて。
長く伸びた校舎の影に、放課後を心待ちにしていたような生徒たちの声が響く。
大した変化もないように繰り返すだけの日々。
清水をどこかに連れてってやれば、そんな日々は変化したりするのだろうか?