《短編》空を泳ぐ魚
「…牛とか豚とか鶏って結局、人間に食べられるために飼われてる家畜でしょ?」
イキナリ意味不明に話し出した清水の言葉を、
頭の中で整理しながら聞いて行く。
首をかしげる俺に清水は、“何でわかんないだろう”とでも言いたげで。
「…あたしは、魚が好きなの。」
「うん、すっげぇ知ってる。」
「…魚はね、自由に泳いでんの。
食べられるためじゃないのに、人間の勝手で獲ったりするから、それを食べるアンタは嫌いなの。」
つまり、魚は獲って食べたりせずに、泳ぐ姿を見てろと?
で、魚が嫌いだから食べない白石は、“良いヤツ”なんだって?
本当に、不思議なことを言う。
「…家畜はね、学校と一緒なの。
目的を押し付けられて、わかってないのにそれでのうのうと生きてるの。
どーせ食べられるために育てられたんだから、廃棄されるより食べてあげなきゃ可哀想じゃん。」
だからお前は、肉ばっか食べる、って?
「…わかったよ、大体。
もぉお前の前では魚食べねぇから、俺のこと好きになってろよ。」
「…ギャグ?」
「…ギャグ言ってる顔してねぇだろ。」
「そだね。」
不思議そうに俺を見つめる清水に、
何度目かわからない告白はいつか届くことがあるのだろうか、と。
ちょっと悲しくなってしまった。
「今度絶対、水族館連れてってやるから!な?」
「…アンタ、全然わかってないね。
そんな水槽見るなんて、あたし可哀想で泣いちゃうかもしれないってのに。」
“水槽”って、これまた夢もないような言い方だな、おい。
余程清水は、“自由に泳ぐ魚”が好きらしい。
あんな大きな水槽ですら、彼女にとっては許せないのか。
イキナリ意味不明に話し出した清水の言葉を、
頭の中で整理しながら聞いて行く。
首をかしげる俺に清水は、“何でわかんないだろう”とでも言いたげで。
「…あたしは、魚が好きなの。」
「うん、すっげぇ知ってる。」
「…魚はね、自由に泳いでんの。
食べられるためじゃないのに、人間の勝手で獲ったりするから、それを食べるアンタは嫌いなの。」
つまり、魚は獲って食べたりせずに、泳ぐ姿を見てろと?
で、魚が嫌いだから食べない白石は、“良いヤツ”なんだって?
本当に、不思議なことを言う。
「…家畜はね、学校と一緒なの。
目的を押し付けられて、わかってないのにそれでのうのうと生きてるの。
どーせ食べられるために育てられたんだから、廃棄されるより食べてあげなきゃ可哀想じゃん。」
だからお前は、肉ばっか食べる、って?
「…わかったよ、大体。
もぉお前の前では魚食べねぇから、俺のこと好きになってろよ。」
「…ギャグ?」
「…ギャグ言ってる顔してねぇだろ。」
「そだね。」
不思議そうに俺を見つめる清水に、
何度目かわからない告白はいつか届くことがあるのだろうか、と。
ちょっと悲しくなってしまった。
「今度絶対、水族館連れてってやるから!な?」
「…アンタ、全然わかってないね。
そんな水槽見るなんて、あたし可哀想で泣いちゃうかもしれないってのに。」
“水槽”って、これまた夢もないような言い方だな、おい。
余程清水は、“自由に泳ぐ魚”が好きらしい。
あんな大きな水槽ですら、彼女にとっては許せないのか。