《短編》空を泳ぐ魚
Ⅱ
去っていく清水の後姿を見つめながら俺は、ため息を混じらせた。
毎度毎度、まるで他人のことを話しているような口調の清水の会話に、
何だかやりにくさばかり感じてしまう。
「清水の今日の記録、何秒?」
清水が居なくなった教室では、生徒たちがそんなことを話し出す始末だ。
「アイツ、エンコーしてるってマジだと思う?」
「さぁな。
でも、テクニック凄そうじゃね?」
「でも、マジ可愛いし、女王様キャラだし。
俺、アイツにならヒールで踏まれても良い!!」
清水に付き纏う、良くない噂。
エンコーしてるかどうかなんて定かじゃないし、
ぶっちゃけ俺にとってはそんなのどっちでも良いけど。
あながち嘘に聞こえないのは、その見た目も大きく関係してるのだろうな、と。
こんなことを思ってしまう俺は、全然教師に向いていないのだろう。
適当に進学した大学で、親の勧めもあってとりあえず取った教員免許。
受験で言うところの“スベリ止め”。
だったはずなのに、見事に落ちまくった就職活動。
適当に進学して、適当に4年も過ごしていた結果がコレだ。
結局俺は、適当な私立の教員になった。
職にあぶれなかったことだけは良かったけど、
どう考えても俺は、“教師”なんて仕事に誇りを持てない。
ガキに情熱を注げるほど興味もないし、ぶっちゃけ俺自身、勉強嫌いだし。
仕事、仕事、と。
自分自身に言い聞かせる日々。
そんな中にあって、清水だけは別だった。
最初は目を引くその見た目から入って、何故か興味を引かれる対象となった。
こんな規律正しい異質な空間にあって、清水だけはそれを受け入れたがらない。
毎度毎度、まるで他人のことを話しているような口調の清水の会話に、
何だかやりにくさばかり感じてしまう。
「清水の今日の記録、何秒?」
清水が居なくなった教室では、生徒たちがそんなことを話し出す始末だ。
「アイツ、エンコーしてるってマジだと思う?」
「さぁな。
でも、テクニック凄そうじゃね?」
「でも、マジ可愛いし、女王様キャラだし。
俺、アイツにならヒールで踏まれても良い!!」
清水に付き纏う、良くない噂。
エンコーしてるかどうかなんて定かじゃないし、
ぶっちゃけ俺にとってはそんなのどっちでも良いけど。
あながち嘘に聞こえないのは、その見た目も大きく関係してるのだろうな、と。
こんなことを思ってしまう俺は、全然教師に向いていないのだろう。
適当に進学した大学で、親の勧めもあってとりあえず取った教員免許。
受験で言うところの“スベリ止め”。
だったはずなのに、見事に落ちまくった就職活動。
適当に進学して、適当に4年も過ごしていた結果がコレだ。
結局俺は、適当な私立の教員になった。
職にあぶれなかったことだけは良かったけど、
どう考えても俺は、“教師”なんて仕事に誇りを持てない。
ガキに情熱を注げるほど興味もないし、ぶっちゃけ俺自身、勉強嫌いだし。
仕事、仕事、と。
自分自身に言い聞かせる日々。
そんな中にあって、清水だけは別だった。
最初は目を引くその見た目から入って、何故か興味を引かれる対象となった。
こんな規律正しい異質な空間にあって、清水だけはそれを受け入れたがらない。