薬指の約束
第一章
「依緒ちゃーんっ!
かーえーろっ」
1組の教室を勢いよく開けた。
けれど、
「依緒なら、5組のイケメンに呼び出されてったよー」
という返事が返ってきた。
「そっかー。
ありがとう」
しょんぼりした気持ちで教室のドアを閉めると、
あたしは元来た廊下を戻ろうと体の向きを変えた。
そのとき、
「うわあっ」
大きな影にぶつかって、あたしはそのまま尻もちをついてしまった。
「あっ、ごめん!
大丈夫?」
上から、声が降ってきたかと思うと、
大きな手が差し出された。
「あ、えっと…」
「もな!」
廊下の向こうから依緒ちゃんがあたしを呼ぶ声がした。