あなたと君と

君は誰を見てる。~祥也said~

時々俺は自分が嫌になる。

俺には中学のときから好きな子がいる。

いつ告ろう、いつ告ろうそう考えてるうちに時間はどんどん過ぎていった。

意気地無し・・・その言葉がぴったりだな。

なぁ、翡翠・・・

君はいったい何を考えて、何を思って、何を見てる?

お前の頭の中に俺っていう存在はいる?


今日も長い授業が終った。

放課後の部活に行くまでは教室で仲いいやつらと喋る。

この時間、俺は幸せなんだ。

窓側の席に友達と二人で座る君。

太陽の日が当たった君の横顔に見惚れてしまう。

だって、すっげー美人なんだよ?

まぁ、翡翠の事だから自覚はないな。

あっやべ、こっち見たっ。

そういって、君を見ていた視線を急いで喋っている直人に移す。

本当は見たい、こっちを見てくれてる君が見たい。

だけど自分に素直になれない・・・。

あぁぁぁ!なんで俺こんなに度胸ねーんだよー!

って、さけびたいよ・・・。

窓際の二人が席を立った、

なんだか知らないけど俺もとっさに翡翠を見てしまった。

だけど、君は俺の視線に気付かず教室を出ていってしまった。

あぁ、幸せな時間がおわった・・・。

そんなときに、直人が出て行った如月に気付いたのか、

「おっ、そろそろいこーぜ祥~。んじゃ、明日なー」

と言った。

「「じゃなー」」

「じゃーな…」

そういって元気なさげに別れを告げる俺。

俺の鞄についてるアルファベットの『H』のキーホルダー、くま付きの。

もちろん、翡翠のイニシャルのHだ。

コレを売ってた店でなんだか知らないが手にとってしまった。そして買った。

『欲求不満なのか~?』とか言ってくる直人にイラっとする。

それぐらい翡翠のことが好きなんだ。

だけど、今そのくまが寂しそうに見える。

翡翠がいないから。





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