彼の事情、彼女の…。
アカネは、俺の腕に絡まりながら俺、ケント、彼方の順で、得意の上目使いで見つめてくる。
…あ、彼方の時のみ“ニコッ”も忘れてないな…。
サスガ…アカネ。
まぁ、俺達三人には全く効かない事に気付かない所は…ツメが甘いと言うか…何と言うか…。
「部活は急に休みになったんだ。…あっ!そう言えば、アカネに誘われてたんだっけ?ゴメーン。すっかり忘れてたわ。」
アカネから腕をスルリと抜いて、“ゴメン”と拝むように手を合わせた。
…だって、香水の匂いがキツくて、吐きそうになるし、大体、サヤカの前でそうゆう事をしたくないんです!俺は!!
「え~、じゃあさぁ、これから一緒に遊ぼうよ~。ケント君も彼方君もぉ…イイでしょ?」
あぁ、もし…もしも…、サヤカが同じポーズをしたら、俺は迷わず抱きしめてキスをすると思う。
…でも。
例え、小首を傾げられようと・・・
例え、上目使いで見られようと・・・
例え、制服の袖口をチョコンと摘まれようと・・・
アカネじゃなぁ・・・。
『何、企んでんだよ』としか思えねェんだよ!!!