彼の事情、彼女の…。
④
「・・・っつーか・・・、なに?あのオンナ。」
ゲーセンを出て暫くすると、サヤカが不機嫌そうにそう言った。
おっ、もしかしてヤキモチだったり・・・
「思いっきり彼方狙ってんのミエミエじゃん。」
・・・しねェよな・・・。
「あー。久々のゲーセンだったのに!!!アカネのヤツ~!!!」
かなり消化不良のケントも不機嫌。
「・・・。」
何を考えてるのかイマイチ良く分からない彼方は置いといて…。
「…ねェ、尋くん。さっきのって…。」
不安そうな佑ちゃんのフォロー位はしてあげようか・・・。
「ん。俺の元カノ。スッパリ別れてはいるんだけど、アイツ、男好きだからさ。…でも。」
そして俺は、佑ちゃんの耳元でこっそりと囁いてあげた。
「彼方の事は、俺に任せていいよ。アイツから守ってやるから。佑ちゃんは彼方に守ってもらいな。」
俺の言葉に真っ赤になって反応する佑ちゃんは、やっぱり可愛いと思った。