彼の事情、彼女の…。
何気なくふと目をやると、公園の片隅にある小さなベンチに黒い人影があった。
“こんな寒い…しかも夜中に、変なヤツだな”
そんな風に思って・・・。
だから、最初は只の好奇心だったんだ。
“どんなヤツかな?”…って。
向こうからは見えない様に…気付かれない様に場所を移動して…。
そうして見えた黒い影は…
「・・・え・・・。」
髪の長い女の子だった。
彼女は、少しキツめの猫を思わせる様な目で真っ黒な空を見上げていた。