彼の事情、彼女の…。
1月の真夜中の時間帯で、俺が夢中になっていたのは…
眠さでも・・・
寒さでもなく・・・
ただ、彼女の溢れ出る涙だった。
どれ位そうして居たのか…、彼女は両手でグイと涙を拭き取り、立ち上がった。
そして、一瞬・・・。
そう。
ホントに一瞬だけ、力が抜けたように“フッ“と笑ったんだ。
――――――“ドキンッ”
その一瞬見えた笑顔に、俺の心臓が異常な程跳ね上がって…。
彼女が立ち去った後も、俺の心臓はなかなか静まらず…。
手に持っていた缶コーヒーは、とっくにアイスコーヒーになっていたし、体も真冬の温度で冷え切っていたのに…。
なぜか、俺の体の一番深いところはポカポカと暖かくて…。