彼の事情、彼女の…。



結局、『誰が』とか『何のために』とか…そんな事の前に、『いつ』カッターが仕掛けられたのか…それすら特定できずに居る…。




「でもさ、何ではるかちゃんなんだろうな?」


愁がポツリと言った。


「ん?」

「だってさ、佑奈ちゃんとか爽果ちゃんとかなら分かるんだよ。…ほら、彼方とか尋と仲良いしさ?女子の僻み?妬み?みたいな感じでさ?」

「…あぁ、そうだよな。はるかちゃんはケントの彼女だけど、別に他から妬まれたりする子じゃ無いよな。」

「ほら、尋と付き合ってた頃とか…ケントと付き合い始めた頃だったらさ、分かるんだよ。…ほら、色々あったじゃん。」

「…まぁ、確かに。」




ケント・彼方、そして俺は、愁と純平の会話を黙って聞いていた。


うん。


確かに不自然なんだよ。


俺とはるかが付き合っていたのは約1ヵ月間。

…で、別れてから…もうすぐ3週間か…。

まぁ、最後の方は曖昧な感じだったけど…ケントと付き合いだしたのもその頃で…。



実際は、被っては無いけれど、周りからしたら『浮気した』と見られたらしく…何日間かは他のオンナ…主にケントのファンのオンナからはるかは嫌がらせをうけていた。



当事者の俺達からしたら



『良かったな。』

『良かったね。』




で、終わった事なのに…な。







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