彼の事情、彼女の…。



サヤカは…身動き一つせず、階段の下で仰向けに倒れていた。



「・・・サヤ・・・カ?」



自分が発した声にはずなのに、何処か、他人事の様な感覚。



小刻みに、手が・・・否、全身が震えている。



サヤカを助けなくちゃ…。



分かってはいても、動かない体がもどかしい。



あぁ、サヤカが動かない。



俺の見ているこれは、現実なのか・・・、それとも、俺は知らないうちに、映画でも観ているのか?



いつも見慣れたサヤカの白い顔は、白を通り越して青白い。



これは・・・サヤカだよな?



サヤカによく似た人形じゃないよな?



分からない。



分かりたくない。







・・・・コワイ・・・・。








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