彼の事情、彼女の…。
あの時、完全に壊れていた俺は・・・愁にキツイ一発を貰ったおかげで正気に戻った。
「お前、何してんだ。好きな女位、守ってやれよ!」
左の頬がジンジンと熱を持ったけど、その一言で、俺は目を覚ました。
“守る“
それは、傷ついた彼女を放っておくことじゃ・・・ない。
俺は、頭をフル回転させてその後の処理をした。
彼方、ケント、純平。
勿論、愁も・・・。
何をして、どう動けばいいのか・・・。
事の真相が分かっているのは・・・俺だけ。
だから、皆には俺の指示通り動いてもらった。
証拠はそろった。
あとは・・・。
だけどその前に、どうしても、俺はサヤカに会いたかった。
無事を・・・確かめたかった。
結局、俺が一番ヘタレだ・・・。