彼の事情、彼女の…。



俺が、じっと横顔を見ていると、サヤカは少し身じろぎし・・・ゆっくりと目を覚ました。



「・・・じ・・ん?ここは・・・。」



彼女の・・・小さな、少しかすれた声に・・・涙が出そうになった。



「・・・、病院。ごめん。俺、助けてやれなかった・・・。」



声が震えていた。


・・・いや、違う。


体が震えていた。


目の前で、床にたたきつけられたサヤカを見た瞬間・・・。

そして、床に広がる血の海の中のサヤカを見た瞬間・・・。

サヤカが、永遠に消えてしまいそうで・・・怖かった。


正気に戻っても、その恐怖は拭う事は出来なくて・・・。



そうだ。

俺はずっとずっと・・・怖かったんだ。



「サヤカ・・・ゴメンな。ゴメン。」



サヤカを守れなくて・・・ゴメン。

すぐに動けなくて・・・ゴメン。

本当に・・・ゴメン・・・。





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