彼の事情、彼女の…。



そんな、情けない俺を見て、サヤカは“クスリ”と笑った。



「尋?ジ~ン?・・・もしかして、泣いてる?ダメだよ?男が泣いたら。・・・私は、大丈夫だからさ?」



そして、そう言うと、折れて無い左手で・・・俺の髪をなでた。



「目が覚めた時、尋の顔が見れて嬉しかったよ?・・・側にいてくれてアリガト!心配してくれてアリガト!私はもう大丈夫。・・・だから・・・ね?お願い。“彼女”の所に・・・行ってあげて?・・・分かるよ・・ね?」


「・・・・・。」


「尋。いつものポーカーフェイスはどうしたの?“サラッ”と何でも出来るのが尋でしょ?いつもの尋の方が魅力的だよ?」


そう言って柔らかく微笑むサヤカを見て・・・勝てないな・・・って思った。
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