彼の事情、彼女の…。
mission★5
①
“ガラガラ・・”
旧校舎・第三音楽室。
その、木製の重々しい扉の向こうには、俺の思い通りのアイツが居た。
窓際の席の机に座り、足をブラブラさせながら窓から空を見ていた。
「よ。やっぱり・・・ここに居たな?」
俺の声に“ピクリ”と反応したアイツは、ゆっくりと目線を俺に向けた。
「・・・ジン・・。」
アイツは、俺の名前を呼ぶと、目を反らし、俯いた。
「何だよ、元気無いじゃん。らしくないんじゃね?」
俺はそう言いながら、アイツの正面の机に座った。
ここ、旧校舎の第三音楽室は俺達が付き合っていた時、良く使っていた場所。
授業中のサボり場として・・・。
・・・そういう行為を・・する場所として・・・。