彼の事情、彼女の…。
そっと顔を覗きこめば・・・難しい表情で空を見上げているアイツ。
「アタシに・・・言いたい事・・あるんでしょ?」
「・・・ん・・、そうだなぁ・・・。あっ、サヤカの事は心配すんな。さっき目が覚めた。ケガは有るけど、命にかかわる程じゃ無いからさ。」
俺は、あえて核心には触れずにそう言った。
「そうじゃないでしょ?ジンが本当に聞きたい事。・・ううん。“言いたい事”・・かな?」
アイツは、何の感情も持たず、俺の顔も見ない。
「“言いたい事”?・・・何だろうな・・。分かるように言ってよ・・・、アカネ。」
アイツ・・・アカネは、のろのろとゆっくりとしたスピードで俺を見た。
・・・いや・・・。
本当は見ていないのかも知れない・・・。
アカネの瞳は虚ろで・・・しんだ目をしていた・・・。