このまま好きでもいいですか。
いつものように考えながらあゆみは引っ越しの準備をしていた。

あゆみは来週から誠の家に住む。
誠の母と父と祖母と、5人で。
この部屋とももうすぐさよならだ。
部屋が片付くにつれ
すっきりとするような、
しかし少し寂しいような、
いろんな気持ちが溢れ
涙が溢れてきた。

そんな時に持っていたアルバムから
ひらりと一枚の写真が
床に落ちた。
涙をぬぐいながら見てみると、
それは高校3年生のときの
クラス写真だった。


【みんないい顔してる】

そう呟き
自然とあゆみの口元に笑みがこぼれた

あの頃は部活ばかりして
よくお母さんに
勉強しろって怒られていたっけ


そんなことを思いながら
1人1人の笑顔を見ていたあゆみの瞳は
ある一点でぴたりと止まった。



そこには誰よりも背が高くて
笑顔を作るのを少しはじらう
彼の姿があった。



【悠介】
思わずあゆみはつぶやいた。
そして見つけたのだ。
道に落としてきた大切な何かを。
< 2 / 4 >

この作品をシェア

pagetop