妄想店長~大人と子供~

 彼の好きな私は、ニコニコと優しい笑顔を湛えた温和な私。

 最後の最後まで彼の理想であり続けましたよ。

 私自身を見ようとしなかった彼は、諦めたように店に出勤しなくなりました。

 全く、お陰で私は父親の冷たい視線に耐える羽目になってます。

 次こそは、きちんとしなければいけない。

 まぁ、バイト君が辞めていく度に思う事なんですけどね。

 こんなひねくれ者ですが、一応店長。

 人を扱う者としては、父の足元にも及ばない事は承知です。

 それでも少しは私にも向上心ってものが備わっているようなので、次のバイト君が長続きする事を心から願っていたりもする。

 最早、神頼みに近いですけどね。
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