妄想店長~大人と子供~

 険しい表情で上げた貴方の顔が、赤く染まっていく。

 大きく見開かれた目はとても意外そうに私を見つめていた。


「え?翠さん?・・・もしかして?」


 先に疑問を口にしたのは貴方。


「知りませんよ。初耳です。」


 貴方の疑問に答えれば、益々貴方の顔が赤くなる。

 どうやって貴方の本心を知るんです。

 何も言わない貴方の本心なんか気付く訳ないでしょう。

 まして、日頃の冷たい貴方の態度でどうやって気付くんです?

 でも、分かってしまえば、思い当たる貴方が確かに記憶にあります。
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