妄想店長~大人と子供~

「―――な、翠さん。俺から触っても良い?」

「勿論。大歓迎ですよ。」


 ベッドに腰掛ける貴方がゆっくり立ち上がり、両手を私へと伸ばしながら近付いて来る。

 ふわりと菫色のレースが音もなく揺れた。

 遠慮がちに私の両手を掴んだ貴方が、はにかんだ様に微笑む。

 おや、手を繋ぐだけですか?

 この前の欧米人のデモンストレーションの続きですか?

 私の両手を貴方の長い指が包み込み、少しだけ背の高い貴方が嬉しそうに見下ろしている。

 んー、やっぱり貴方は純粋ですねぇ。

 想いが通じた途端、更に妄想の膨らんだ私とは訳が違う。

 握った私の手と私の顔を交互に見て、貴方はとても満足そうに笑っている。

 そんな純粋に喜ぶなんて、私の加虐心が煽られていますよ?

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