妄想店長~大人と子供~
眉間に皺を寄せて、口を一文字に結んで、瞳を揺らす貴方は、傍から見ると不機嫌そのものです。
お客様が機嫌の悪い貴方に不思議な顔をしてらっしゃいます。
笑顔の私がカウンターの中に立つと、貴方は私をチラリと見て、それでも平静を装ってお絞りとナッツの入ったショットグラスをお客様の前に静かに置いた。
世間話をする私とお客様を、貴方は苦虫を噛み潰した様な不機嫌丸出しの顔で見つめている。
この常連客の男は貴方の異変に気付いていますよ?
元々、口数の少ない貴方ですけれど、この男は貴方の表情を良く見て下さっているんです。
恐らく、私の感情も見ているんでしょう。
今日一番のお客様である男は、私の昔からの知り合いです。
年齢層の高い私の店では若い方に属する。
何故か初対面から貴方はこの男を得意としていないようですね。
隠しているつもりのようですが、私も男本人も気付いていますよ。
まぁ、飄々としていて嫌な奴なのは確かで、昔馴染みでなければ私も余り関わりたくない男ですが。