妄想店長~大人と子供~
「ビールで良いですか?」
「おう。あと何か食い物も頼む。お前の親父さんに付き合わされて何も食ってないんだ。」
「父と飲んでたんですか。いつもすみませんね。断って良いんですよ?」
家族ぐるみ親交のある幼なじみは、私なんかより父の信頼を受けて、今では父と仕事上の話なんかも出来るようになっているらしい。
私の店に来ているのも、妹のような私の心配半分と、父に言われて様子を見に来ている節がある。
良い迷惑ですが、売上に貢献している以上、無碍にもできません。
笑いながら話す私達の会話を、貴方は黙って聞きながら注文のあったビールのグラスを出す。
サーバーから勢い良く黄金色の液体を注ぐ貴方を見て、男が苦笑を浮かべていた。
それに私も笑顔で微笑むとキッチンに向かう為に貴方の横を通り抜ける。
すれ違う瞬間、貴方が小さな溜め息を吐いたのが聞こえた。
ちょっとやり過ぎましたかね?
料理を作り終えたら安心させてあげましょ。
結局、私の方が貴方を好きだって事ですか。