妄想店長~大人と子供~

 仕方なく唇を貴方の手から遠ざけてやると、貴方はあから様に安堵の息を吐く。

 握った手はそのままですよ?

 安心するのは早いと思うんですけどねぇ。

 勿体無くて食べたりなんか出来ませんけど、私を肉食動物の心境にできるのは貴方だけですよ。

 セクハラ親父の心境とも言えますが。


「細かい事を気にするのは良くないですよ?禿げたらどうするんです。まぁ、アタシは禿げた君も見てみたいですけど。」

 大袈裟に音を立てて貴方の手の甲に素早く口付けると、貴方の焦った顔が酷く可笑しくて、喉の奥で笑いを噛み殺した。

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