妄想店長~大人と子供~

「有難う、は私の台詞ですね。何も出来ないアタシを見捨てないで居てくれるんですから。その事実だけで感謝状ものですよ?」


 後半をからかうように言った私に、貴方は嫌な顔をしたけれど、私の本心です。

 貴方が私に感謝の言葉を言う必要なんてない。

 言うのは私です。


「意味分かんねぇ。」


 貴方にしてみれば勇気を振り絞ったのに、私にはぐらかされた気分なのでしょう。

 その顔が間違いなく不機嫌になった。


「そのままの意味ですよ。私は竜哉サンの存在そのものに感謝していると言う事です。」


 さり気なく貴方を名前で呼んだ私を、貴方は吃驚した赤い顔で凝視してくれて、何だか仕掛けた私まで恥ずかしくなってしまいました。

 貴方の純粋さが移ってしまったようです。
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