redheart*
家政婦のセシル
( 妃澤世紀 )が、
にっこり微笑み
ながら、そう言う。
脚をぶらぶら
させながら、
あたしが小説を
読んでいると、
インターホンが鳴った。
「 今行きます 」
受話器に向かって
セシルが言うと、
それでは、と、
セシルは家の
ドアを開ける。
低い、男性の
落ち着いた声が
聴こえた。
「 いらっしゃいませ、
どうぞ、青山様、
こちらへ 」
「 失礼致します 」
足音が近づくと
共に、あたしは
胸がいっぱいになる。
小説にしおりを
挿み、パタン、と
本を閉じると、
あたしは玄関先まで行った。