夢想物語(仮)
第1章

ピンクに溺れて、

降ってくる。
土の上に横たわっている僕を埋めるように桜の花びらが降ってくる。
なぜか体は動かなかった。それでも、できることは2つだけだがあった。
そのうちの1つは目を動かすことだ。
きょろりと視線を動かせば胴体の上にピンクが薄く山をつくり、指先から手の甲にかけては埋もれてしまっているのがみえた。
もう1つできることは、息をすることだった。
口に落ちてこようとする花びらを「ふーふー」と荒く息をして左右に散らす。そのせいか顔には他の部位ほど花びらは積もっていなかった。
けれど体の周りが埋められてしまえば、息によって散らした花びらは行き場をなくし顔はピンクに埋もれ息をしようと唇を開けばピンクは口内に侵入しノドに張りつき僕を窒息死させてしまうのだろう。
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