夢想物語(仮)
良い名、なのかな?と僕がきょとんとしていれば桜が、くくっと喉を鳴らした。

「良いモノを持っている者は、自分の持っているモノの良さに気づけないものだ。」

「そう、なの?」

「ああ、そういうものだ。」

僕が聞き返せば、桜はフッと笑って答えた。つられて僕も笑えば、桜は着物の袖をフワリと舞わせて僕に背を向けた。

「さて、名のりあいは終わったが…桃慈、お前が目覚めるまで時間は、きっとたくさんあるぞ?」

狐の面がついた顔だけ、僕のほうへ向けて桜は言葉を続けた。

「さて、なにをして過ごすか?」




闇を食べて、桜は光に変えた。
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