夢想物語(仮)

夢を見るのは、

「僕、なりたいものが沢山あるんだ、」

「夢が、沢山あるというのは良いことだと思うぞ。」

僕が、ゆっくりと切り出せば桜は優しい声でそう言ってくれた。

「まずね1つ目は、人魚。」

「人魚?」

なりたいものを言えば、桜が繰り返した。

「うん、人魚。僕、泳ぐの下手くそだから…。」

「…。」

理由を言って、少し話したことを後悔した。それは桜が無言だったせいだ。

「…やっぱり、言わなきゃよかった。」

ぼそりと呟いてみれば、なおさら後悔してしまった。そんな僕を気にもとめずに桜は無言のままだった。

「僕のなりたいもの、可笑しいよね。」

「ん?」

少し大きめの声で喋りかければ、桜はやっと反応した。
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