夢想物語(仮)

闇は笑って、

闇が笑ったと思えば、笑っているのは闇に紛れた人間らしきモノだった。
断言できないのは、闇のせいで曖昧にしか形を特定できなかったせいだ。

「そんなに顔をしかめて、どうかしたか?」

闇が喋った。
どうやら、僕は闇の姿を特定しようと目を細めているうちに、しかめっ面をしていたようだ。

「あー…」

「なんだ。」

「ここは暗いね。」

率直に明かりが欲しいのだと言えれば良かったのだろうが、僕は躊躇った。
なぜなら、闇には僕がしかめっ面しているのが分かったのだから、闇にとって光は不要なものだと思ったのだ。
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