夢想物語(仮)
だが、それは僕の杞憂だったらしい。
闇は、しばらく無言でいたかと思うと

「あぁ、人間には光がなくてはいけないのか」

と呟いた、と思うとパチリと指を鳴らすような音がした。
すると、闇は夜明けのような明るさになった。

「これで文句はないだろう?」

急に闇が明るくなったものだから目を細めていれば、問いかける声が聞こえた。
声がしたほうを見れば、狐の面をして浴衣のようなものを着た男が立っていた。
「えっと、ありがとう」

一応、返答の意をこめて、お礼を言えば男は面のせいで見えなかったが笑ったような気がした。

「それで、ここは…」

僕が問いかけようとすれば、男は低く呟いた。

「ここは、夢の中だ。」


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