CUTEGIRL
「え?」
急に声をかけられてびっくりして振り向いた。
…そこにいたのは、マスクをして帽子を深く被った男の人。
見るからに怪しい…
「傘…持ってないんでしょ?
よかったら」
その人はそう言って、私に黒い傘を差し出した。
「いや、でも…」
「いいから」
その人はそう言うと、半ば強引に傘を押しつけて走っていった。
「あ、ありがとうございます…」
私はつい、小さくなって見えなくなっていく背中に向かって囁いた。
なんか…
強引な人だなぁ。
…てか!
見るからに怪しい人に傘借りちゃったよ私!!
よく見ると高そうだし…
でも、貸してくれたんだから使ってもいいよね。
私は静かに傘を開いて、急いで家に帰った。