クランベリー
その直後、ヒロトがやってきた。
私はとっさにヒロトの手を引いて、ようこの向かう反対方向へと走って逃げたっけ…。

親友のようこなら私の嘘、とっくに見抜いちゃってるかな…

こうやって嘘に嘘をかさねて、終いには親友のようこを自ら失ってしまうのかな…

だとしても…
今の私には、ヒロトと繋いだ手と手は離すことできないんだ。






それからしばらく経った日のこと。

職場での昼食を済ませ、歯磨きセットをロッカーに取りに行くと、だいたいこの時間には鳴ることのない携帯電話が、バックの中で私を呼んでいた。

誰からだろう…

ようこからだった。

罪悪感という名の矢が、私の胸を突き刺す。

後ろめたさを頭から掻き消すようにして電話にでた。


「もしもし。」

「もしもし、優?
今日の夜、会えるかな?」話しがあるんだけど。」

いつもと違い、淡々とした口調…ようこらしくない。
まさか、ヒロトのこと?
でもこのことは誰にも言ってないし……
大丈夫よね…。


「いいよ、仕事終わったら連絡するね!場所は後決めよ。」


話しってなにかな…?

私は心の中で、ようこと会うことを拒んでいた。
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