クランベリー
強がり
それからも、私とヒロトは連絡を取り合ったり、何度がデートもした。

会えば会うほど、ヒロトにはまっていく私がいる。


ヒロトからの待ちに待ち望んでいる報告は、まだないままだった。

別れたのかどうかとか、
本当に私と付き合ってくれるのかどうかとかは、
私の方からはあまり言いたくなかった。


重たいと思われるのも嫌だし、もし私が幸せになったなら少なくとも誰か一人は悲しむんだ。


ヒロトを信じること。
そう決めたんだ。

今の私は、口のないただの待ちぼうけ。

本当に言いたいことは、私の頭の中にだけ存在する。まるで壊れた洗濯機のようにグルグル回るだけで、それを口には出せなかった。

口に出せば、全てなかったことになる気がしてならなかったから…。




ヒロトの好きなものは、私の好きなものになった。

たとえば、ヒロトが好きなミュージシャンを知れば、その日のうちにそのミュージシャンのCDを買いに行ったし、あの映画が好きと聞けば、レンタル屋でそのDVDを必死に捜した。

ヒロトが大好物のオムライスは家で何回練習したっけ?

恋のパワー全開だった。
だいたい自己満足の空回りだけど…。
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