クランベリー
私は、ヒロトが目をつぶって寝ているのを確認して、まじまじと見つめた。

眠っているときだけ、私はヒロトを一人占めできる。

ヒロトの体のわりに大きい手が大好き。

この寝顔だって大好き。
ヒロトの寝顔はまるで少年みたいで、かわいいから。
これだけじゃないよ。
まだいっぱいある私がヒロトの好きなとこ。

触れたい。
キスしたい。

もし、私が彼女なら、そんなこと思う間もなく本能で簡単にできちゃうのに…


こんなに近くにいても、
やっぱりヒロトは遠いね…
ヒロト……
ずるいよ…。


ヒロトは目を覚まし、布団から手だけを出し、私の方に手招きした。

近寄ると、ヒロトは私の手を握った。

ヒロトは男だし、ベッドに誘ってくることくらいは、それほど経験のない私でも想像できた。

ドキドキするものの、冷静さは失わなかった。


「Hはしないよ。私は彼女じゃないから。」

「そっか…。そうだよな。」

本当はね、Hしてもよかった…。いや、したかった。
でもね、私はヒロトとの体の関係は今まで想像すらしたことないんだよ。

ずっと私が欲しいのは、
あなたの心だから…。
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