クランベリー
「優、ちょっと歩こうか…。」

そう言ってヒロトは、私の右手を掴んで自分のポケットに入れこんだ。


夢みたいだった。

さっきまで、冷え切っていた心と、右手の指先はヒロトのぬくもりで温められている…。

胸がいっぱいで、うまく歩けないよ。


もうすぐクリスマスなので、お店や道路などいたるところでイルミネーションが飾られ、キラキラ輝いていた。


そして、ヒラヒラと雪が私達に舞い降りた。

しだいに雪の粒は大きくなり、二人を包んだ。


「寒いね…。」
ヒロトはそう言って、私を抱き寄せた。



「ヒロト…。会ってない間、私のこと考えたりした?」


「優のこと?完璧に忘れてた。」


「そっか。」

「嘘だよ、そのまま受け止めるなって!」


「だって…。」


「優のこと、忘れたことなんてないよ。」


しばらく何も言わず、ヒロトは私を強く抱きしめ温めてくれた。
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