クランベリー
ヒロトの鼓動が聞こえる…
この中に私はどれくらい?

本当はこんなんじゃ足りないよ…

ヒロトに出会ってからずっと、私の心は満たされないままなんだよ…



世の中に伝えたくても、言葉にできない想いがどれくらいあるんだろう。
ずっとしまい込んでは、この雪のように溶けて体に染み込んでいって、いつか涙に変わっちゃうのかな…。それじゃ悲し過ぎるよ…。

ヒロトは抱き寄せた腕を私から離した。


「行こっか…。」

そう言って、私の右手を握りまた歩きだした。


「じゃここで。友達が待ってるから。」

え?それだけ…?

「うん、わかった。じゃあね…。」


ヒロトは人ごみに消えた。
ヒロト…今何考えてる?
遠くに行かないで…


私は一人ただただ立ち尽くすことで精一杯だった。

何でいつも強すぎる想いは伝えられないの…?


ちっぽけな私はこのヒロトへの愛情に潰されそう…


自分で生んだ愛情なのに、もうこれ以上、心(ここ)に持っていられない。


支えられるのは、ヒロトしかいないよ…。
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