クランベリー
「ヒロトとは2カ月前くらいには別れてたんだけど、土曜日はだいたいヒロト家にいないから、土曜日だけ友達と便利だから使ってたの。」

そっか…。
黒いパンプスと数本の歯ブラシの正体がわかった。


「で、優さんに頼み事あって…。ヒロトの家の鍵、優さんからヒロトに返してもらえないかな?
電話しても出てくれないんだ。」

と、言いながら早紀はバックから鍵を出してテーブルに置いた。


「でも、私も今ヒロトとは全然会ってないし、連絡もとってないの。だから…、」

早紀は私の話を遮るように、黙って鍵を私に差し出した。


「ヒロトは、優さんのこと本気で好きだよ。」
と早紀は言った。


私は鍵を受け取った。
早紀の頼み事は、受けるべきだと思った。

そして、早紀と別れた。


なんでそんなに、強くて優しいの?

私は弱くて、傷付くのを恐れ逃げてばかりだ。


ヒロトを好きな気持ち、もっと大切にしなくちゃ…


私はこの日、もうヒロトから逃げないと誓った。


早紀、ありがとう。
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